人工血管置換術

体の中で最も太い血管は、心臓から拍出されたすべての血液を運ぶ大動脈です。この大動脈に“こぶ”ができた状態を大動脈瘤と言います。

ここでは、大動脈瘤とはどういう疾患なのか、どのように治療するのか、手術の危険性はどうなのか等について説明します。

医者

1. 大動脈とは

心臓から拍出された血液は、直径15~20mmの大動脈を通って、脳や腎臓、肝臓などの重要臓器に栄養を運んでいます。大動脈は図のように大動脈弁から上(頭)に向かって始まります(上行大動脈)。その後、脳や腕に栄養を運ぶ3本の血管を分枝し(弓部大動脈)、Uターンして下へ向かいます。弓部大動脈末梢側から横隔膜までの部分を下行大動脈、横隔膜から左右の下肢に分岐する部分までを腹部大動脈といいます。

原因は?

この病気の原因の多くは動脈硬化であり、動脈硬化の危険因子である高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病などが関係しています。動脈硬化により血管の壁が弱くなり、だんだんと大きく膨らむといわれています。高血圧の患者さまの場合、血管に常に高い圧力がかかり、動脈瘤になりやすいとも言われています。

その他の原因としてはマルファン症候群などの先天的に大動脈壁が弱い人、外傷、動脈壁の炎症などがあります。

大動脈とは

大動脈瘤と診断されたら

  • 大動脈瘤と診断されたら 守ってほしいこと
  • 大動脈瘤と診断されたら 主な療法

動脈瘤が自然に消失することは、ほとんどありません。そのためこれ以上大きくしないように気をつける必要があります。症状がないからといって何年も放置するのは危険です。日々必ず守ってほしいのは血圧のコントロールと禁煙です。冬場は温かい場所から寒い屋外に急に出るといった寒冷刺激を極力避けてください。

高脂血症や糖尿病の患者さまは、コレステロール値や血糖値のコントロールにも努めなければなりません。血圧をコントロールするための降圧療法(血圧を下げる治療)は、ストレスを避けることや、食事療法、運動療法、薬物療法があり、定期的に専門医の診察を受け、経過を観察することが欠かせません。 解離性の“こぶ”のうち、一部は降圧療法で完治することがありますが、根本的治療法は外科的手術です。降圧療法などの内科的治療は補助療法にすぎません。

最も重要なことは、CT検査などで“こぶ”の大きさを長い期間、観察していくことです。

なお突然、胸や背中が痛む場合は、破裂や解離している可能性がありますので、できる限り早く、循環器科、心臓外科を受診する必要があります。手術の時期と方法は、“こぶ”の大きさ、場所、拡大のスピード、形態、原因、さらに合併疾患などによって違ってきます。

予防は?

  • 予防は? 6ヶ月~1年に一回CT検査でチェック
  • 予防は? 突然血圧があがるようなことを少なくする
  • 予防は? 高血圧の方は降圧剤で血圧を高くしなようにする

最低、6ヶ月から1年に1回、CT検査で大きさが変化していないかチェックする必要があります。高血圧のある方は降圧剤で血圧を高くしないようにします。突然血圧があがるようなこと(例えば激しい動作、ストレス、便秘、寒冷)をなるべく少なくすることが大事です。しかし、破裂を完全に予防することは不可能です。大きくなっている場合は、手術をお勧めします。

動脈瘤は指摘されていなくても、高齢、高血圧、糖尿病、他の循環器病、ご家族に動脈瘤を患った方がいる場合などは、将来動脈瘤ができる可能性があります。動脈硬化にならないように生活習慣に気をつけてください。

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