ICD(植込み型除細動器)治療

3. ICDについて

ここでは、ICDについてご説明します。

ICDとは

ICDはICD本体とリード(導線)で構成されます。ICD本体は心臓の動きを常時監視して、頻脈の検出や治療を行うコンピュータや、電気ショック治療に必要な電気を蓄えるコンデンサと、それらの電源となる電池を内蔵しています。

リードは通常鎖骨下の静脈から右心室へ留置されます(場合により左腹部や背部に追加される場合があります)。本体は胸部、または腹部に植込まれ、心室内に留置されたショックコイルの対極としても使用されます。

心室内に留置されたリードは、先端に心臓の動きを監視する電極があり、先端から心室内手前側に、電気ショック治療を行うためのショックコイルがあります。また、同じリードの右心房上部の位置にも、本体と同じく、右室内のコイルと対極をなすショックコイルが配置されます。

ICDで検出された頻脈は、患者さまそれぞれの症状に合わせた治療が行われ、履歴が記録されます。

電気ショックの電気の流れ

ICDの機能

ICDは、心臓の動きを常時監視して起こった頻脈の記録や治療を行い、治療の履歴も記録します。また、ICDが心臓を監視する(頻脈を検出する)条件やどのような治療を行うか、記録された内容を取り出すなどの操作はプログラマといわれる機器で行われます。

プログラマ

プログラミングヘッドという通信部分をICD本体上(植込み部位)に載せ、高周波信号を用いて、治療方法の変更や、電池の残量、電極の状態、作動状況などの記録の取り出しを行います。

植込み手術から入院中、退院後の外来でのチェックの際に使用されます。

ICDシステム

ICDによる治療

ICDは頻脈を検出すると初めに、検出された頻脈の治療が必要であるかを識別します。治療が必要と判断された場合は、検出された頻脈の速さや頻脈の種類により、「抗頻拍ペーシング治療」、「カルディオバージョン」、「除細動」などの段階的な治療が行われます。また、ICDは脈が遅くなった場合には、ペースメーカ「徐脈治療」として働きます。

徐脈治療

設定された心拍数を下回るとICDはペースメーカとして働きます。数ボルト(V)の低い電圧で電気刺激を行い、心臓を収縮させます。また、頻脈の治療後に起こる可能性のある心停止を防ぎます。

ペースメーカ動作中の心電図波形 電気ショック治療後のペースメーカ動作

抗頻拍ペーシング

心室頻拍が検出されると、起こっている心拍数より早いタイミングでペーシング(電気刺激)を行います。抗頻拍ペーシング治療は小さな電気で右心室先端部より刺激を出します。そのため、この治療はドキドキするかも知れませんが、苦痛の少ない治療方法です。しかし、抗頻拍ペーシング治療の効果が無い場合や、血圧がすぐに低くなる場合などでは使用が制限されます。

抗頻拍ペーシング

カルディオバージョン

検出された心室頻拍が、抗頻拍ペーシング治療の効果が無い場合や血圧が直ぐに下がりただちに治療が必要な場合、または心拍数が速く、心室細動と区別しにくい場合などに設定されます。カルディオバージョンは、比較的低めのエネルギーの電気ショックを心室の動きに合わせて安全なタイミングで出力し治療します。

もしも止まらない場合は順次出力を高く設定します。カルディオバージョンは電気ショックによる治療のため、低いエネルギーであっても、不意に胸や背中または、お腹などを強く叩かれたような感じがあり、不快感があります。

カルディオバージョン

除細動

心室細動が検出されるとカルディオバージョンよりも更に強い電気ショックの治療が行われます。(心室頻拍でも非常に脈拍が速く、心室細動を検出する脈拍数に入るような速い脈の場合は、除細動治療となります)
除細動治療は、強い電気ショック治療が行われるため、突然お腹や背中を強く叩かれたような衝撃があります。しかし、心室細動が起こった場合、意識を失う事が多く、治療が行われた事に気づかない事もあります。

除細動

手術について

手術は施設により異なりますが、全身麻酔または、局所麻酔で行われます。手術の時間はおよそ2〜4時間ほどで通常は左胸部に植込まれます。身体の小さな小児や何らかの理由により胸部に植込みができない場合は腹部に植込まれますが、この場合の手術は身体への侵襲が大きいため全身麻酔下で行われます。

胸部植込みの場合は胸部を数センチ切開してICD本体を留置するポケットと呼ばれる部分を作り、鎖骨下を通っている静脈を通じて右心室内にリードを留置します。また、腹部の場合はポケットを腹部につくり、リードは静脈に入れる場合や、心臓の外壁に取り付けるなど状況により異なります。リードが留置されると、実際にICDが働く事を確認するため心室細動を起こし不整脈の検出と治療を行い、確実に頻脈を停止できる事を確認します。このテストは局所麻酔での手術の場合でも患者さまには眠っていただいた状態で行います。

ICDの植込み例

ICDの植込み例 ICDの植込み例 ICDの植込み例

手術中の合併症について

ICDは著しい速さで小型化、高性能化、長寿命化が進んでいます。初期のICDは重さが200〜300gほどもあり、腹部に植込まれ、リードや電気ショック用の電極も開胸手術により植込まれていました。

現在では重さが90g程度となり、経静脈的にペースメーカ同様の植込みが行われるようになりました。そのため以前と比べて短時間で安全性の高い状況で手術が行われるようになりましたが、手術中では以下のような合併症が発生する可能性があります。

  • 心不全、ポンプ失調

    血胸、気胸

    心膜炎、胸膜炎

    血栓症、塞栓症

  • 電極による穿孔

    感染

    血腫

ICDの交換手術

限られた電池で治療を行うため本体の交換が必要となります(交換時期は治療内容や治療頻度などの条件により、個人差があります)。しかし、リードに異常が無い通常の交換手術では局所麻酔下で本体の交換が行われ1〜2時間ほどで終了します。安静度も低く入院の期間も比較的短くなります。

実際の手術では術前、術中、術後についての詳細な注意事項の指示がありますので、主治医、手術をされる医師、担当の看護師などに確認し、指示に従って下さい。

入院費用について

入院費用について

ICDの植込みで入院された場合に必要となる費用は、入院中の検査代や治療費および手術費用などですが、費用の大部分が保険でまかなわれます。また、健康保険法の改正により、平成19年4月1日からは病院窓口での高額療養費制度に該当する医療費の支払いは自己負担限度額までとなりました。但し、この自己負担限度額は、年齢や所得および加入している保険などにより費用の負担に差があります。詳細は、入院される病院の担当、各自治体の保険課などで確認して下さい。

高額療養費制度

同じ病院や診療所(同じ病院でも入院と外来、総合病院では各診療科は別々に扱います)に1ヶ月に支払う医療費が一定額(自己負担限度額)を超える場合には、自己負担限度額までの支払いとなる制度です。但し、入院時の差額ベッド代や保険適応外の負担金、食事療養費などはこの高額療養費の対象には含まれません。

国民健康保険 に加入の方・・・・・・・・市町村役場
健康保険組合 に加入の方・・・・・・・・健康保険組合
政府管掌健康保険 に加入の方・・・・・・・・社会保険事務所

詳しくは各保険の担当部門または病院の窓口にお問い合わせ下さい。

保険制度の改正などにより負担金額の算出方法や手続き方法が変更となることがあります。

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