ICD(植込み型除細動器)治療

医者

1. 心臓の役割と突然死

心臓の役割

人間の活動に必要な酸素や栄養を運搬するのは血液であり、心臓はその血液を身体のすみずみまで送り出すポンプの役割をしています。

正常な成人の心臓は1分間に約60~80回収縮して血液を送り出しています。この心臓の収縮は、洞結節で発生した規則正しい電気的興奮が、刺激伝導路(下図参照)を伝わることで起こります。

心房と心室は一定の間隔をおいて順番に収縮して、効率的に血液を全身に送り出します。

心臓の役割

心電図は心臓の電気的な変化を記録したものです。心房の興奮をP波、房室結節から右脚・左脚を通り心室全体に興奮が伝わって行く過程がQRS波となります。興奮によって心臓が収縮し、次第に興奮がさめて心臓が拡張して行く過程がT波となって正常な心臓の1回の動きが記録されます。この一連の動きを連続して記録し、心電図の形の変化や規則性から不整脈や基礎にある心疾患の診断に役立てます。

心電図と心臓の興奮 規則正しい心電図

突然死の原因となる心臓病

突然死は医学的な定義として、発症してから死亡まで24時間以内とされ、年間5万人以上もの方が亡くなっています(調査法によっては10万人以上とされるものも数多くあります)。また、その原因の6割以上を心臓突然死が占めています。

心臓突然死の原因としては、急性心筋梗塞、狭心症、心筋症、心不全、不整脈、弁膜症などがあります。特に心臓突然死の中で多いのが急性心筋梗塞であり、狭心症を含む虚血性心疾患は、食生活の欧米化に伴い増加傾向にあります。

ICDが普及しているアメリカでは、1980年に最初のICDの植込み以来、年間およそ75000人の方々がICDの手術を受けています。そして、その約7割の方が虚血性の心疾患が原因です。一方、日本国内では虚血性心疾患と拡張型心筋症(DCM)などの心機能障害を伴う心筋疾患がそれぞれ約3割程を占めており、残りの4割は「QT延長症候群」や「不整脈源性右室心筋症(ARVC)」や「心サルコイドーシス」などの2次性の心筋症と「ブルガダ症候群」などの「特発性心室細動」やその他原因の特定できない疾患となっています。

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