心房中隔欠損症の治療

3. 心房中隔欠損閉鎖システムによる心房中隔欠損のカテーテル治療

治療に用いられる医療機器の説明

治療には、心房中隔欠損閉鎖システムを使用します。

<フィギュラ・フレックスⅡ心房中隔欠損閉鎖システムの構成>

オクルーダーとデリバリーシステムにより、構成されています。

1.オクルーダー( 以下 閉鎖栓と言います): 心房中隔欠損を閉鎖します。

閉鎖栓は、ニッケル・チタニウム合金(ニチノール)製の細いワイヤーをメッシュ状に編みこんだ傘のような構造となっています。ニッケル・チタニウム合金は形状記憶合金・超弾性合金と呼ばれる金属で、冠動脈ステント、血管フィルターをはじめ様々な医療機器の材料として認知されています。またメガネフレームや携帯電話のアンテナなど、今では私達の日常生活で身近な金属です。

オクルーダー,閉鎖栓

2.デリバリーシステム: 閉鎖栓を体内の心房中隔欠損部分まで運搬します。

プッシャー(細い金属製のワイヤー)とデリバリーシース(細長いカテーテルと言われる管)がセットになっており、閉鎖栓を体内へ運搬できるように設計されています。

適 応

心房中隔欠損閉鎖システムは、カテーテルを足のつけねの血管から挿入することによって、心臓外科手術をすることなく閉鎖栓を心臓内に運び、心房中隔欠損を閉鎖するための医療機器です。このシステムを用いた心房中隔欠損の閉鎖治療は、一般に下記の患者さんが対象となります。

<1> 超音波画像(心エコー)検査によって心房中隔欠損が確認された方

<2> 右心室への過剰な血液流入の臨床的根拠(右心室の容量負荷)が認められる方

治療の禁忌

以下のいずれかに該当する場合、この治療を受けることができません。

  • 欠損孔が大きすぎる場合。
  • 心臓内に血栓(心内血栓)がある場合。
  • 出血性疾患、未治療の潰瘍がある場合、またはアスピリン(抗血小板薬)を服用できない場合(主治医の判断によって他の血液抗凝固薬を処方する場合もありますが、代替薬の投与が不可能な場合は治療を受けることができません)。
  • 患者さんの体格、心臓または静脈がカテーテル治療を実施するには小さすぎる場合、または治療に耐えられないと判断される容態の場合。
  • 外科手術が必要な他の心臓疾患を伴う場合。
  • 不測の事態に際して心臓外科手術に耐えられない場合、または心臓外科手術を受けることができない場合。
  • 感染症を発症している場合。ただし感染症完治後であれば閉鎖術を受けることができます。
  • 欠損孔の周辺に閉鎖栓を確実に固定するための十分な中隔組織がない場合。
  • ニッケルアレルギーがある場合、またはその可能性が疑われる場合。

※詳細は、主治医にお尋ねください。

検査と治療

検査や治療の内容、方法は個々の患者さんにより異なります。以下の項目は一般的なものですので、検査や治療の内容や方法については、事前に主治医より説明があります。

検 査

治療を行う前に病状の確認や治療法の決定、さらに治療を適切に行うため、様々な検査を行います。

主な検査 心電図検査 超音波画像(心エコー検査) 経食道心エコー検査 心臓化カテーテル検査

実施施設

心房中隔欠損カテーテル治療の実施施設は、一般社団法人 日本Pediatric Interventional Cardiology 学会(JPIC)のホームページに掲載されています。
JPICのページへは、下記のURLから遷移できます。
http://www.jpic-meeting.org/cathe/asd.shtml#02

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