心臓弁膜症の治療

5. 心臓弁膜症の手術方法

心臓弁膜症が進行して、薬物療法で対応しきれなくなると、手術を行うことになります。以前のような健康的な生活を取り戻すために、手術を行い弁膜症を治療します。手術の方法は大きく分けて「心臓弁形成術」と「心臓弁置換術」に分けられます。

どちらの手術方法が患者さんに適しているかは、検査や診断の結果をもとに、医師からの説明、相談の上決定されますが、手術中に実際の心臓弁の状態を確認してよりふさわしい手術方法に変更されることもあります。

手術方法

心臓弁形成術

心臓弁形成術は、狭窄症や、閉鎖不全症を起こしている患者さん自身の心臓弁を修復する手術方法です。修復を行う際に、人工弁輸などの補助材料を使用することもあります。

●人工弁輪

人工弁輸は、心臓弁形成術を行った際に、形成した弁がその形状を保てるように、患者さんの弁輪(弁の外周部分)に縫着する補強材料です。チタンなどの金属の芯材にポリエステルなどの布が取り付けられているものが一般的です。人工弁輪は主に僧帽弁や、三尖弁の手術に用いられ、生涯にわたり患者さんの弁輪を支えます。

人工弁輪

心臓弁置換術

心臓弁置換術は、患者さんの弁が修復のできないような場合に、人工の心臓弁に置き換える手術方法です。手術後の心臓弁としての機能は生涯にわたり患者さんの弁に代わり人工弁が負うことになります。人工弁には大きく分けて「生体弁」と「機械弁」があります。どちらの心臓弁が患者さんに最も適しているかは、患者さんの年齢や生活スタイル、ご希望などを考慮し選択されますが、手術中に実際の弁の状態を確認して変更されることもあります。

●生体弁

生体弁は生体由来の材料で作られている人工弁で、主にウシの心膜や、ブタの大動脈弁が用いられています。生体弁は素材の劣化による再心臓弁置換手術が必要になる場合がありますが、この弁を移植した場合にはワーファリン(抗凝固薬)の継続的な服用は必要ありませんので、出血症のリスクを減らす事ができます。

生体弁
●機械弁

機械弁はカーボンやチタンなどの素材を用いて作られている人工弁です。劣化が起こりにくく、生涯にわたり使用する事ができますが、この人工弁を移植した場合には、血液をかたまりにくくする薬ワーファリン(抗凝固薬)の服用を継続する必要があります。

機械弁
●TAVIタビ(経カテーテル大動脈弁置換術)

重度の大動脈弁狭窄症の患者さんで、高齢等のため体力が低下していたり、その他の疾患などのリスクがあり外科的治療を受けられない方等を対象に、カテーテルを用いた大動脈弁置換術(TAVI)も行われています。

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