人工血管置換術

3. 大動脈瘤の症状

真性の “ こぶ ” は大きさやできた場所によって異なりますが、症状のないことが多く、これが大動脈瘤の特徴であり、危険な点です。

胸部大動脈瘤は、健康診断などでたまたまレントゲン線検査を受けたとき、大動脈が拡大しているのがわかり、初めて診断される場合が多いのですが、“ こぶ ” が拡大してくると圧迫による症状がでてくることがあります。例えば、食道が圧迫されて「ものを飲み込むのが困難になる」、左反回神経(声を出したり、ものを飲み込んだりするときに使う神経)の圧迫による「かすれ声」などです。

腹部大動脈瘤の場合も症状のないことが多く、たまたま触ってみて脈をうつ“ こぶ ” に気付き、初めて診断される場合も少なくありません。

破裂する前は、無症状な場合が多いのですが、一旦、破裂すると激しい痛みを生じます。胸部大動脈瘤では胸や背中の痛み、喀血などが多く、胸腔の中に出血して急激なショック症状になったり、突然死したりすることもまれではありません。

破裂したら?

症状は無症状から一変します。堤防の決壊と同じです。血圧が低下して突然ショック状態になります。道路で突然倒れたとか、そのまま倒れて死んでしまったという場合、実は動脈瘤破裂であった、という話がよくあります。破裂する部位によっては、血を吐いたりとか、血便が出るということもまれにあります。完全に破裂していない場合でも痛みは激烈です。出血が少し でおさまった場合は、何とか救急車で病院へたどり着き、緊急手術で救命できる可能性もあります。

腹部大動脈瘤が破裂したときも、腹痛、腰痛や腹がいっぱいになった感じ(膨満感)が必ず起こり、出血によってショック状態になります。破裂した場合は緊急手術が必要になりますので、すでに大動脈瘤と診断されている患者さまが、いま挙げたような痛みを覚えた場合は、ただちに専門医の診断を受ける必要があります。破裂後の緊急手術は通常の待機手術より危険性は大変高くなりますので、破裂する前に治療をすることが大切です。

解離性の場合は?

解離性の“ こぶ ” が発症した場合、ほとんどの患者さまに、胸板や背中の痛みが出現します。合併症として、「急性A型解離」では、大動脈閉鎖不全や心タンポナーデ(心臓の周囲に心嚢液がたまり、心臓の拡張障害が起こる)による心不全症状が、「急性B型解離」では、胸腔内(胸の内部の空間)出血や縦隔(胸の内部を中央で分ける仕切り)出血が起こることがあります。

“ こぶ ” の圧迫によって大動脈から枝分かれした動脈に血流障害が起こると、心筋梗塞、意識消失、手足のまひ、腸管懐死(血行が悪くなり腐ってしまう)、腎不全、下肢虚血、脈拍の減弱などが起こることがあり、すぐに専門医の診察を受けることが必要です。

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