病名と症状
脳動脈瘤とは、血管の壁が弱くなり、一部が膨らんでこぶのような形状になる状態を指します。未破裂の動脈瘤の多くは症状がありませんが、動脈瘤が大きくなると脳や神経を圧迫して頭痛や神経症状が出る場合があります。
脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血となり、今まで経験したことがないような強烈な頭痛や嘔吐、意識障害などの症状をきたします。くも膜下出血の発症後の死亡確率は非常に高くなっています。かろうじて一命を取り留めても、機能障害などの後遺症を残す場合もあり、非常に恐ろしい病気です。脳動脈瘤の原因は明らかではありませんが、高血圧や喫煙、動脈硬化、加齢、遺伝などが関連していると考えられています。
検査
脳動脈瘤の診断は、磁気共鳴画像法(MRI/MRA)、CT検査などで行われます。これらにより、脳の血管の形状や大きさ、部位などを確認します。
治療
脳動脈瘤の治療には大きく2つあり、開頭術(クリッピング術)、血管内治療(コイル塞栓術)があります。動脈瘤のサイズや形状、部位、体力や年齢、希望などを総合的に判断して治療方針を決定します。
開頭術(クリッピング術)は、全身麻酔をかけて開頭し、脳動脈瘤の根本を金属で作られたクリップでとじ、血流を止める手術です。大きさや場所にもよりますが、通常の手術時間は3~6時間程度です。
血管内治療(コイル塞栓術)は、瘤部位にコイルを詰めて血流を遮断することで、破裂を防ぎ、瘤を安定化させる手術です。カテーテルという細い管を足の付け根や手首の血管から挿入し、目的の部位へ到達させ、その通り道を利用してコイルを挿入します。手術は全身麻酔下で行われることが多く、治療時間は通常2~3時間程度です。
入院/退院
開頭術(クリッピング術)の入院期間は一週間から10日程度とされています。血管内治療(コイル塞栓術)は、入院期間は数日から一週間程度とされています。これらは、患者の状態や合併症の有無などによっても異なります。退院後は定期的に医師の診察や画像検査を受け、手術後の結果をチェックします。
よくある質問
Q. 血管内治療(コイル塞栓術)は痛いですか? A. 血管内治療(コイル塞栓術)は通常は全身麻酔下で行われ、痛みはほとんどなく、術後の痛みも少ないとされています。
Q. 治療後の生活で注意すべきことは何ですか? A. 医師の指示に従い、定期的な診察や検査を受けることが重要です。また、規則正しい生活を心がけます。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などは再発に関わる要因と考えられています。これらを悪化させないよう管理していくことが必要です。
Q. 血管内治療(コイル塞栓術)のリスクはどのようなものがありますか? A. コイルが正常な血管に飛び出してしまい、血管を閉塞して脳梗塞を引き起こす可能性があります。また、術中の血管損傷による脳出血が生じることがあります。
上記の情報は一般的なものであり、個々の患者さんの状況により異なる場合があります。具体的な疑問などは専門の医療機関や医師にご相談ください。