胸部ステントグラフト内挿術

8. 胸部ステントグラフトを用いた血管内治療の流れ

胸部ステントグラフトは、デリバリーシステムと呼ばれる機器先端の細いプラスチック製チューブ(カテーテル)に内蔵されています。医師は、脚の付け根(鼠径部)の血管に開けた小さな切れ目からデリバリーシステムを挿入、モニターのライブX 線画像(レントゲン画像)を見ながら操作し、患部に向けてチューブを進めます(図6)。動脈瘤がある位置に到達したら、手元の操作でステントグラフトを広げ、血管内にフィットさせます(図7)。
血管内に留置されたステントグラフトは、血流の新たな導管となり、胸部大動脈瘤に血流圧力が増すのを阻止、瘤が裂傷・破裂するのを防ぎます。

治療は全身麻酔、局所麻酔のいずれかの下で行われ、通常1~3時間ほどで終わります。入院は2~3日間ほどで、通常の生活に戻るまでにはおよそ2〜6週間かかります。その後は定期的な検査を受けていく必要があります。
こ法は、動脈瘤が非常に大きい場合や、血管に屈曲や石灰化が多い場合は、適さないことがあります。次の項で血管内治療を受けてはならない場合を挙げていますのでご参照ください。

ステントグラフトの挿入
ステントグラフトの留置

※鼠径部:左右大腿部の付け根内側にある下腹部の三角形状部分。解剖学的には恥骨の左右外側、股関節の前方部にあたる。

※石灰化:軟部組織にカルシウム塩が沈着する現象、あるいは沈着した状態。血管内に起こると、血管の柔軟性や伸縮性が損なわれる。

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