心房中隔欠損症の治療
10. 各用語の説明
あ行
アスピリン
消炎鎮痛解熱薬と抗血小板薬の2つの異なる作用を持つ薬。カテーテル治療にともない処方される場合、抗血小板薬として血小板の機能を抑え、血中で血栓や塞栓の形成を阻止する。
一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)
脳の一時的な酸素欠乏。
右心室容量負荷(うしんしつようりょうふか)
過剰な量の血液が右心室に送られること。通常、右心室拡大の原因となる。
うっ血(うっけつ)
静脈の流れが妨げられて臓器や組織に血液が滞ってしまっている状態。
X線(えっくすせん)
ドイツのレントゲンが発見した放射線。診断や治療に広く使用されている。
X線被爆(えっくすせんひばく)
X線照射によって放射線を身体に浴びること。
X線皮膚障害(えっくすせんひふしょうがい)
X線被爆によって起こる紅斑様反応、湿性・乾性落屑、潰瘍、壊死などの皮膚障害。
オクルーダー
心房中隔欠損を閉鎖するための閉鎖栓。
か行
潰瘍(かいよう)
皮膚・粘膜などの表層がただれて崩れ落ち、欠損を生じた状態。
カテーテル
滅菌(無菌化)し、柔軟性に富んだ細いチューブで、血管内などに挿入して薬液などを注入または排出し、あるいは医療機器を治療部位に運ぶためのもの。
感染症(かんせんしょう)
病原体が体内に侵入、増殖して引き起こす病気。
冠動脈ステント(かんどうみゃくすてんと)
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の治療に用いられる医療機器。コレステロールなどが原因で狭くなった冠動脈(心臓に酸素と栄養を運搬するための血管)を、内側から押し拡げる金属製の管。
経カテーテル(けいかてーてる)
カテーテルによる方法。
経食道心エコー検査
(けいしょくどうしんえこーけんさ)
心エコー探触子を食道内に置いて、心臓および欠損を観察する超音波検査。
経皮的(けいひてき)
皮膚を通しての方法。
血管フィルター(けっかんふぃるたー)
血液中の血栓など塞栓の原因となる物質を通過させないようにする濾過器様の医療機器。
血腫(けっしゅ)
血管の損傷によって生じる血液の塊。
血栓(けっせん)
血の塊。
欠損孔(けっそんこう)
一部が欠け、穴の開いている状態。
抗凝固薬(こうぎょうこやく)
血液凝固を阻害する薬。血液の凝固作用を弱める。
高血圧(こうけつあつ)
異常に高い血圧。
血小板(けっしょうばん)
血液に含まれる細胞成分の一種。血管が損傷した時にその傷口を塞ぎ止血する作用をもつ。
抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)
血液中の血小板の働きを抑え、血液をサラサラに保ち血栓形成を抑える薬。
さ行
三尖弁(さんせんべん)
右心房と右心室を隔てる血液の逆流防止弁。右心室収縮時に右心房への血液の逆流を防ぐ。
酸素飽和度(さんそほうわど)
血液中に含まれる酸素の割合。
残存短絡(ざんぞんたんらく)
短絡性疾患の治療後に完全に閉鎖できず残った短絡(=閉鎖不全)。
磁気共鳴画像法検査(MRI)
(じききょうめいがぞうほうけんさ)
磁場を用いて身体の組織を観察する検査法。
静脈血(じょうみゃくけつ)
全身に酸素を供給し終え、暗紅色になった血液(⇔動脈血)。
食道(しょくどう)
口と胃をつなぐ臓器で、人が口にした飲食物は食道を通って胃へと送られる。
心エコー検査/心エコー図/心エコー(しんえこー)
超音波によって心臓、弁および大血管を観察する検査(超音波画像診断装置)。
心エコー探触子(しんえこーたんしょくし)
身体の中を画面上に画像化して映し出すため、超音波を発信する医療機器。
心血管造影(しんけっかんぞうえい)
血管または心臓に造影剤を注入し、その動きなどを動画でX線撮影する検査。
人工心肺装置(じんこうしんぱいそうち)
心臓を停止させ行う手術において、その間呼吸、血液循環機能を代行する装置。
心雑音(しんざつおん)
先天性の欠損または正常に開閉しない心臓の弁が原因となり生じる不整な心音。
心室(右心室および左心室)(しんしつ)
心臓にある4つの部屋のうち、心臓の下部に位置する左右2つの部屋。
心臓カテーテル法(しんぞうかてーてるほう)
心臓の動脈および静脈にカテーテルを通す検査法。心臓および血管の圧測定、または採血する方法。
心内膜炎(しんないまくえん)
心臓の内膜および弁の発赤および腫脹。
心内膜炎予防薬(しんないまくえんよぼうやく)
心内膜炎を予防するために服用される薬。
心不全(しんふぜん)
心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる症状。種々の心臓病などが原因で起こり、最終的には生命の危険を伴う状態。
心房(しんぼう)
心臓にある4つの部屋のうち、左右の上部に位置する2つの部屋(右心房および左心房)。
心房細動(しんぼうさいどう)
心房全体が細かくふるえ心房の正常な収縮がなくなる不整脈で、心臓の拍出血量が低下する。血液の流れが緩やかになり、心房内で血栓ができやすくなる。脳梗塞の原因となる。
心房中隔(しんぼうちゅうかく)
左心房と右心房を仕切っている壁。
心房中隔欠損(しんぼうちゅうかくけっそん)
左心房と右心房を仕切っている心房中隔に孔が存在する疾患。
穿孔(せんこう)
器官に穴があくこと。
造影剤(ぞうえいざい)
画像診断の際に画像にコントラストをつけたり、特定の組織を強調して撮影するために使用する薬。
造影剤アレルギー反応
(ぞうえいざいあれるぎーはんのう)
造影剤に対する生体免疫反応。くしゃみ、発疹、熱感、嘔吐、血圧低下、呼吸困難など。
僧帽弁(そうぼうべん)
左心房と左心室を隔てる血液の逆流防止弁。左心室収縮時に左心房への血液の逆流を防ぐ。
塞栓(そくせん)
気泡や血栓などの塊が血流によって移動し、小さな血管に付着し血流を遮断または低下させること。
た行
短絡(たんらく)
本来直接つながっていない右心房と左心房の間で、血液が流入すること。心房中隔欠損では通常、左心房から右心房へ血液が流入するため、左右短絡(ひだりみぎたんらく)という。
低血圧(ていけつあつ)
異常に低い血圧。
デリバリーシステム
閉鎖栓を心房中隔欠損まで運搬するための専用カテーテル類。閉鎖栓脱着機能を有するプッシャー(細長いステンレスワイヤー)と閉鎖栓を収納し心房中隔欠損まで運搬するデリバリーシース(細長いカテーテル)で構成される。
な行
脳梗塞(のうこうそく)
脳の血管が詰まり、そこから先の血行が阻害されるために、脳の機能が障害される状態。
脳卒中(のうそっちゅう)
脳動脈の障害により急速に意識を失い、運動・言動などの障害が現れる疾患の総称。
は行
肺高血圧症(はいこうけつあつしょう)
正常な肺動脈圧を超える高い肺動脈圧を有する症状。心臓から肺に血液を送る肺動脈の末梢の小動脈の内腔がせまくなって血液がとおりにくくなり、肺動脈の血圧が高くなる病気。心房中隔欠損によって発症する肺高血圧は、左右短絡による肺への血液量の増加が原因。心臓のなかでも、肺動脈に血液を送る右心室は高い圧力に耐えられるようにできていないため、肺動脈圧の高い状態が続くと機能が低下し右心不全を発症する。
不整脈(ふせいみゃく)
規則的な心拍リズムの乱れ。
閉鎖(へいさ)
開口部を塞ぐ、または遮断すること。
弁逆流(べんぎゃくりゅう)
弁を通る血液の異常な逆流。
ま行
無呼吸(むこきゅう)
呼吸の一時的停止。
や行
容量負荷(ようりょうふか)
血液の過剰な流入により心臓に負荷のかかった状態。
わ行
腕神経叢(わんしんけいそう)
腕、前腕、手を支配する脊髄神経(頸椎随部から胸随上部)のネットワークで首-肩部に存在。
腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)
麻酔のもと特定の体位を長時間とると発症する可能性のある、腕および首下部の神経の損傷。一時的な事が多い。