製品および商品

品質マネジメント

品質保証体制

当社では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)」・関連法令ならびにISO13485:2016(医療機器における品質マネジメントシステムの国際規格)に準じて品質方針を設定しています。

製品および商品にトラブルが発生した場合には、薬機法・関連法令に準拠するとともに自社の品質マネジメントシステムに基づき、原因特定、改善措置を実施します。製品および商品の使用等が、重篤な健康被害または死亡の原因となり得る状況のトラブルについては、自社のWebサイトにおいても情報公開を行っています。

また、今後の自社製品の海外展開を視野に入れ、2023年5月にMDSAP(Medical Device Single Audit Program)認証を取得しました。MDSAPは、一度の審査により加盟各国(米国、オーストラリア、ブラジル、カナダ、日本)の品質マネジメントシステム規制への適合が証明されるものです。

製品の品質管理

当社が扱う医療機器のほとんどは、人体に使用される「高度管理医療機器」に分類されるものであり、法律上でもより厳格な管理が求められています。このため当社では、薬機法・関連法令およびISO13485:2016に準じて製品の安全に関する手順を規定するとともに、本社ならびに各工場にてISOの認証を取得しています。

製造工程においては、作業に不必要な物品の作業室への持ち込み禁止や、製造工程管理手順に記載のない作業の禁止を徹底しています。作業現場では製品の品質を担保するための複数回の検査を実施するとともに、戸田ファクトリーおよび小山ファクトリーは工場内に作業現場のモニタリング設備を設置し、より高いレベルでの品質管理を行っています。製品に不良が発生し、品質、有効性および安全性への影響が想定される場合には、回収/改修として行政当局に届出をしています。

医療機器の国内販売を行うにあたっては、品質、有効性および安全性が適切かつ十分に保たれていることを確認し、行政当局の薬事承認を取得した後に販売を行います。

製品および商品に関する苦情処理

使用者である医療従事者から製品および商品に対して寄せられる苦情を含めたご意見等は、営業担当者やWebサイトを通じて入手しています。これらの情報は品質保証部門にて社内システムで管理し、必要に応じて担当者が内容を確認できるよう共有しています。

製品に関しては、営業担当者から報告された情報をすべて工場にフィードバックし、調査を行っています。工場側では、製造記録や検査記録をたどって問題の有無を確認できるよう体制を整えています。商品に関しては、必要に応じて製造元に調査を依頼し、確認を行っています。

なお、相談・お問い合わせ等についてはマーケティング部門が入手し、関係部署にフィードバックしています。

当社では、関連するステークホルダーから挙がった声を、上記のようなPDCAサイクルを通じて品質改善に役立てています。

製品および商品の情報提供やラベリングにおける配慮

当社が取り扱う製品および商品の添付文書やカタログの作成、また、情報提供やラベリングにおいても、薬機法ならびに関連法令を遵守しています。

研究開発

当社の研究開発部門には、約90名が所属しています。マーケティング部門の市場調査に基づく開発と、開発部門の要素技術研究成果に基づく開発を実施しており、研究開発は「設計開発手順書」により段階管理されています。

医療機器に関する最新の動向をキャッチアップし研究開発に活かすため、担当者の国際学会への派遣、工場見学に来訪した医療従事者との情報交換、マーケティング部門との情報共有などを行っています。

研究開発部門では、「独創的な研究開発」、「臨床・製造を意識した研究開発」、「ニーズに合った製品をタイムリーに提供する」等のポリシーを掲げており、新製品の開発や既存製品の改良、また、普遍的な社会課題である患者様のQOL向上を目的とした研究開発テーマに取り組んでいます。

オープンイノベーションの取り組み

当社では、よりよい製品づくりで社会に貢献し続けるために、自社技術を用いた製品に関する情報を医師や学会等に提供するとともに、自社にない技術は積極的に外部と協力することで製品開発に活かすという方針を持ち続けてきました。

オープンイノベーションの取り組みの一つとして、外部の研究開発機関と共同でアブレーション評価用人工組織ゲルを開発しました。(「埋込型・装着型デバイス共創コンソーシアム」第2回シンポジウムにて成果発表)また、国内押出成形機メーカーとも共同研究を行い、カテーテル用オリジナル押出装置を開発しました。さらに、繊維メーカーと、人工血管の基材として外面と内面の組織が大きく異なるオリジナリティの高い繊維を共同開発し、本繊維を用いた人工血管は、優れた止血性によって高く評価されています。

動物実験に対する方針

医療機器の開発では、動物実験が欠かせない場面が数多くあります。やむを得ない理由で実験動物の使用が必要となる場合には外部に委託しています。委託先の選定においては、「3Rの原則」(「Replacement」(代替法の利用)、「Reduction」(動物利用数の削減)、「Refinement」(苦痛の軽減))に基づくとともに、日本における関係法令である「動物の愛護及び管理に関する法律」、「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」、ならびに環境省の「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」を遵守する施設にて試験を実施することとしています。

ユニバーサルデザインの取り組み

当社の研究開発においては、誰もが使いやすい製品設計を目指しています。操作性に影響のある改良を行う場合は、必ずユーザーである医師や技師によるタッチサンプルや模擬血管等を用いた操作性に関する評価を行い、その結果を製品設計に反映させています。また、必要に応じてIEC62366:2007(医療機器のユーザビリティエンジニアリングに関する国際規格)に基づく評価を実施しています。

こうした取り組みの結果、患者様への身体的負担を低減する独自のデザインが評価され、心腔内除細動カテーテル「BeeAT」、オープンステントグラフト「FROZENIX」「FROZENIX 4 Branched」、および胃・十二指腸用ステント「JENTLLY NEO」がグッドデザイン賞を受賞しました。

心腔内除細動カテーテル「BeeAT」

2018年度受賞

心腔内除細動カテーテル
「BeeAT」

オープンステントグラフト「FROZENIX」

2019年度受賞

オープンステントグラフト
「FROZENIX」

オープンステントグラフト「FROZENIX」

2022年度受賞

胃・十二指腸用ステント
「JENTLLY NEO」

オープンステントグラフト「FROZENIX 4 Branched」

2023年度受賞

オープンステントグラフト
「FROZENIX 4 Branched」

使いやすいAED(自動体外式除細動器)の開発

AEDは緊急時に使用されるものであるからこそ、誰にでも使いやすい設計が求められます。当社が販売するAED「カーディアックレスキューRQ-6000」は、製造元に対して当社が仕様に関する要求を行っており、本体に表示されているイラスト、ランプの点滅、および本体に付属する使用手順書によって、耳の不自由な方も安心して使用できるように設計しています。

同商品は、一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会より、聴覚障害者の利用にも配慮した設計がなされたものであるとして、「耳マーク」を掲示することの承認を得ています。

AED(自動体外式除細動器)「カーディアックレスキューRQ-6000」

AED(自動体外式除細動器)

「カーディアックレスキューRQ-6000」

耳マーク

耳マーク

単回使用医療機器の再製造に関する方針

単回使用医療機器(SUD)とは、1回の使用後に廃棄することを意図して設計・製造された医療機器を指します。しかし、医療費抑制策の一環として使用済みSUDを回収し、専門事業者が適切に処理を行い、必要な性能等を有することを確認し、再び使用できるようにする動きがアメリカやドイツを中心に起こっています。日本でも「医療安全の確保」、「医療資源の有効活用」、「持続可能な医療の提供」といった観点から、2017年7月に再製造単回使用医療機器(R-SUD)に関する制度が整備されました。

当社は単回使用医療機器再製造推進協議会(JRSA)に特別会員として参画し、最新の動向の把握に努めています。

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